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  • 執筆者の写真Momoyo

鍵盤装飾音・その1


​ 音がひとつだけ、譜面に書いてあるとします。 声を出して、その音をアー、と歌ってみるとき、少し弱めの音が出たあと、空気をもっと吹き込んだように音が膨らんで、最後の方で息が切れてくると音が弱まって小さくなり音程も少し下がってくるかもしれません。 と、いう具合に、 音がひとつしか譜面に書いていなかったにしては、声はバラエティに富んだ「音楽」を「ものして」います。声は、ひとつの同じピッチを完全に同じ風量で保つという出かたにならないので、「音楽としてはたったひとつの音」ではない、のだと私には思えます。 オルガン、チェンバロ、ピアノなどの鍵盤楽器は、書いてある譜面の音がひとつだからと、機械的に指をポンと鍵盤に置くと、そう簡単には「音楽」にはなりません。 さらにいうならば、その音の「音楽」は、次にどの音に行くのか、あるいはその音はその前のどの音から来た音なのか、前後関係に影響を受けるものです。 音を発生したあとでは、声のようにその音を膨らますことはできないし、その音の消え方を、コントロールすることは難しい。 その音を「音楽」として弾くためには、鍵盤楽器奏者は「弾く前にその音がどういう音楽になるのか」ある程度決めてから鍵盤に指を下ろす必要があります。 鍵盤楽器のそうした「ハンディキャップ」を超えて、ひとつの音を声のように心に響く音楽にするためには、「それっぽく聴こえる」工夫というか、「あら?なぜかこの音が途中から膨らんで聴こえたんだけど?!」と「だまし絵」効果のようなことをするわけです。 「アー」と聴かせたいか、「オー」と聴かせたいか、など、演奏するものは色々想像を膨らませて演奏しています。たとえ、聴く人がその通りに受け取ってくれなかったとしても、「がつん」とイメージのない音を弾くよりもよほど音楽的に聴こえてくれる、そのように作られているのがクラシックの鍵盤楽器だと思います。 そんな中、ある日すごいことを思いついた人がいた。 「音を震わせるふりをしてみよう!歌だってほぼ半音に近いビブラートをかけて歌うじゃないか(と、思ったかどうかは知りませんが)」 そういうわけで、 鍵盤装飾音が生まれた のではないか、 と私は想像してみました。

(つづく!)

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(雑談)

ブリュッセルはとても寒いのでちょっと肩と肘の腱鞘炎が痛くて手首も「今日はキャベツは切りたくないよ」と言って来る日々です。日本もインフルエンザが流行ったり、2月にかけてはお正月の疲れも出てくる時期かと思います。みなさんお気をつけてお過ごしくださいね!そんな中。今年は珍しく寒いのにめげず楽しいなと思えていることは、ランニングです!元・陸上部の体験が生きるとしたらそれは「こういう寒い日は何を来て走ればいいか」というノウハウ(おおげさだな)。普通に防寒すればいいじゃん、と思うかもしれないのですが、厚着すぎると途中から暑くて脱ぎたくなるので、やや軽めの重装備にします。走っていて脱いだ服を持っていると邪魔だからです。私の場合、気を抜かずにあっためるのは足首と手なので、レッグウォーマーの膝まで来るのをつけてスポーツ手袋をします。ただ、これだとスマホのランアプリをいじれないので、手袋の指は周到にひとつだけちょこっと切り落しました。これなら手がかじかまない。それから鼻をかみたくなってしまうので薄いハンカチをポケットに入れます。というか、入れないと困るのに、しょっちゅう忘れてます。本当に困ります。それから帽子は、薄くて洗える素材のユニクロのものをひとつ買ったので、走ったあと全て一気に洗濯機で洗うので楽です。ユニクロといえば、小さくたためる薄いダウンジャケットがあって、巾着袋にしまえる便利なものですが、私は5、6年は使用していてくたびれて来ているので思い切ってラン用にお下がりしました。というわけで時々デリケート用洗剤でこれも洗濯機で洗っています!防寒の話書こうと思ったのに、結局寒くても走れば汗は出るので、洗濯の仕方の話になってしまった。それも、私はラン用の服は一式しか持っていないので、洗わないと次の日は走れないというわけです。あとは、走っても取れないリップのつけ方あるかな、と試してみたけれど、はっきり言ってリップなくても、顔真っ赤だし。ということでボツになりました(でも二つやり方を見つけたのだ

)。


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