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ブリュッセルに来てベルギー雀を見たらイギリスのより小さくて日本のより大きかったので私は「雀には人種がある。」という強い確信を持ちました。


ところがどの雀もほぼ同じ声で「ちゅん、ちゅん」と鳴いています。音程までは自信ないですが、どこで聞いても間違うことのない、あの鳴き声。


その雀ちゃんが、ベルギーですっかり絶滅に近い種になりつつある、ということをニュースで読みました。「ベルギーにはもはや鳩しかいないが、雀の代わりにオウムが増えている」というような内容のニュースでした。とはいえ、自粛期間中にはあまりに旅行者が来ないので、海辺の人間の食べ残しが不足し、海猫が海から100キロ以上離れたブリュッセルまで食料を探しに飛んできていたりしたのです。鳩しかいないっていうのは誇張じゃないの。


そんなことを思いつつ、それ以来ずっと気にするようになりました。

「ちゅん、ちゅん」という声が聞こえているかな?と。


私の家の庭はさくらんぼの木とリンゴの木が二本とイチジクの木があるので、めちゃめちゃ鳥に人気です。黒歌鳥の縄張りになっているらしく、鳩も巣を作りましたが鳩は行ったり来りしてうちの庭をホテルにしているような感じで、黒歌鳥が常に歌を歌っています。昨年の黒歌鳥はとても歌の上手な子がいて、一羽で長い歌を歌っていました。その返事をする声がどこかの遠くの方から聞こえていたので、黒歌鳥くん王国とその隣国で恋が育まれたのかもしれません。


そんな王国ですが、雀は必ず毎日のように声を聞きます。雀がうちの庭に住んでいる感じはないですが、こまめにさくらんぼを食べにきていました。雀の休憩所だったのでしょうか。


雀は確かに、教会の周りの繁華街には全くこの週末、見ることができませんでした。そこはニュースの通り、捨てられた食べ残りをついばむ鳩ばかりです。自粛期間中に教会の正面の道は大掛かりな工事があって、小さな噴水と大きめの木が八本ぐらい植えられたので、雀も水浴びに戻って来られたら良いなあと思います。


教会の帰り道に、道と道の中間の、犬のお休み処が作られた長細い緑地を通ったら、この数日の半端ない雨量のせいか、いつになく木が激しく茂って、近年に見ないぐらい大きく緑が涼しい木陰を作っていました。ちょうどそれが途切れたところの正面の家の屋根から、それはそれは美しい黒歌鳥の声が聞こえてきました。


ちょうどソロパートも佳境に入ったというような長く高い、瑞々しい歌声で、私も思わず首を思い切り上に向けて聴き入っていると、小さくポツンと見える黒い鳥がのびのびと歌唱するその向かい側の屋根に、一羽の鳩が身動きもせずに黒歌鳥の方を見ていました。


鳥たちは種類を超えて、声を聴き合うものなのでしょうか?鳩まで、こんな風に聴き入ることなんて、あるのでしょうか?いつの日か、鳩もあの裏返ったような汽車しゅっぽっぽみたいな歌を卒業したいと憧れているのでしょうか?


黒歌鳥の歌はあまりに耳に残るので、そこにいた、ここにいた、今日も同じ子が歌っている、と街の中ですら記憶に残りますが、必ずしも黒歌鳥の数が多いわけでもなさそうです。

野良猫もほぼいなくなったブリュッセルの中心街では、野良鳥(こんな言葉はありません)だけが最後の砦だったのに。


「雀を知らない子供たち」


そんな歌が作られる日が来たら寂しいですね。

ベルギー雀、がんばれ。

(森と化した6月の庭。)






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